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エル・グレコ展_東京西洋美術館:20130223 [絵画]

チケットは前もって買ってあったのですが、なかなか行く機会がなく、気が付けば2月も最後の週末になってしまいました。

それにしても注意しないとあっと言う間に時間は過ぎてしまいます。 ワインを飲んでばかりではダメです 笑

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友達からの秋葉巡回の誘いもあったのですが、やはり2月のうちにグレコを見ておきたい。

3月はラファエロとブリヂストン美術館に行かなければなりません。

土曜日、いつもより寝坊をしましたが、娘を送り出し急いでシャワーを浴びて頭の中もすっきりして、上野へと急ぎました。

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整備も終わって綺麗になった上野公園。スタバもお洒落です、スタバってあまり行かないのですが、ここは一度入ってみたい。

寒いけれど、朝の上野公園の雰囲気、素敵です。

ところどころ木々の影が薄く長く、冬の景色のアクセント。PEN E-PL3のファインダーを覗いていると飽きません。
カメラを持つと色んなことを忘れてしまいます。 

おいおい、展覧会を見に来たんだろう ?

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東京都美術館に着いたのは開館時間の9時30分を少し過ぎていました。

混んでいるのかと思いましたが、並ぶこともなくすんなりと展示室へ。

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没後400年(1541年~1614年4月7日)を迎えるにあたっての大回顧展。大阪で先に開催され、1月19日~4月7日まで
東京都美術館での展覧会です。

エル・グレコ、
ベラスケスとゴヤと、スペインの3大画家の一人。

マニエリスム、独特のフォルムが気になりますが、西洋美術館と大原美術館に1枚ずつ、日本には2枚しかなくて、カタログのものではなく実際の作品を見てみたいとずっと思っていました。

一人で行ったので2時間ほどゆっくり自分のペースで鑑賞出来ましたが、これだけの作品を見ての感想は、
「謎はさらに深まり、興味はもっと大きく」でした。


燃え木で蝋燭をともす少年」この構図どこかで見たことがある気がします?  カラヴァッジオ ? ラトゥール ?
少年のそっと息を吹きかける音が聞こえそう。エル・グレコの技術のすごさにひきつけられました。
若い頃はこういう絵も画いていたんですね。

≪燃え木で蝋燭をともす少年≫ 1572年頃 60×49cm コロメールコレクション マドリード
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展覧会を見て気が付いたこと、色彩がステンドグラスの様なことの他に、

①グレコは本当にマニエリストなんだと実感。曲がりくねった人体、大きな手等。
②エル・グレコ雲? 独特な雲がたくさん画かれていること。
③女性がとても綺麗 (やはり綺麗な女性が気になります ) 笑 。
④構図がすごく斬新、大胆なこと。


これもどこかで見たような?
但し、絵画ではなくて去年見た能の世界での話。何の題目か忘れましたが、老人、隠遁者の役でこの様な能面が登場しました。痩せ男だったかな?
背景の雲、エル・グレコ雲。

≪聖ドミニクス≫ 1605年頃 101×55cm サンタ・クルス美術館寄託 トレド
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この聖フランチェスコの絵はすごかったです。

カタログの写真では分りませんが、僧衣の画き方のせいでしょうか?
聖フランチェスコが両手で持っているドクロ、もちろん絵の中心と言うこともあるのでしょうが、筆のタッチで自然に視点がフォーカスしてしまいます。
荒地のくぼみに静かに座っている絵なのですが、ドクロに全てが向かっている、吸い寄せられていく感じがして、その意味でとても動きを感じる絵でした。インパクト強し。

≪瞑想する聖フランチェスコと修道士レオ≫ 1590-95年頃 155×100cm  
ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アンティグア財団 モンフォルルテ・デ・レモス
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マグダラのマリア可愛い。手がとても大きくて、エル・グレコはミケランジェロ等の画き方を継承しているマニエリストの画家なんだと実感しました。
後ろの雲はやはり、エル・グレコ雲? です。
ところどころ隙間が開いて天上からの光が届いている・・・、 というよりもネットの様、不思議な存在感のある構築物のような雲です。SF映画にでてくるよう。


≪悔悛するマグダラのマリア≫ 1576年頃 156.6×121cm ブダペスト国立西洋美術館
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この絵も顔の大きさに比べて両手が大きいのにびっくり。
でも、違和感はありません。自然にすっと入ってしまう。

グレコは、見方によって一番の美しさの比率は変わるんだ、という意味のことを言っているのだそうですが、この聖ヨハネの場合はこれでいいのですね。

アニメの少しニヒルな敵役のような感じもする聖ヨハネ、かっこいいです。

≪福音書記者聖ヨハネ≫ 1607年頃 97×77cm エル・グレコ美術館 トレド
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このマリア様、すごく可愛い。
フェルメールの女性も綺麗ですが、グレコの女性も可愛いです。 

それと、確かNHKの日曜美術館のゲストの方も言っていたのだと思いますが、聖アンナの画き方はピカソの青の時代の人物の画き方にとても良く似ていると思いました。
1500年代と1600年代の初めに活躍した画家ですが、現代にも通じるものがあるのだと思います。僕がSFとか不思議な構築物などと感じているように、ピカソ達もそういうところにひかれたのかもしれない。

なくなってからグレコは一時忘れられた画家でしたが、ピカソなど後の画家たちが再発見してくれました。

≪聖アンナのいる聖家族≫ 1590-1595年頃 127×106cm メディナセリ公爵家財団タペラ施療院 トレド
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そのおかげで、こんなにかわいいマリア様に会うことができます。

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たくさんのグレコの作品の最後を飾っていたのはこの「無原罪のお宿り」。3mくらいの大作です。

チケットに印刷されている「一度見上げたら忘れられない」のせいでしょうか?
多くの方がこの絵の下にしゃがみこみ、見上げるようにして鑑賞されていました。

では、じぶんも。

立ったままで見た感じとは大きく違います。なるほど、グレコはこの絵が見上げられることを計算して画いてもいるのですね。
確かに忘れられなくなりました。笑

下の天使から天上までらせん状にはるか彼方に上昇していく方向性、ステンドグラスのような、宝石のような、精神的ともいえるようなこころとも共鳴する色彩の輝き・・・、パレットナイフで削ったかのような衣の光り方に圧倒されてしまいました。
しばらく立ち去ることは出来ませんでした。

こんなすごい絵が日本に来てくれたことに感謝。スペイン、トレド、いつか行ってみたい。

≪無原罪のお宿り≫ 1607-13年 347×174cm サン・ニコラス教区聖堂 トレド
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グレコ、まとまってこんなにたくさんの作品を見たのはもちろん初めてでした。
数多くの絵画を贅沢に年代やジャンルに分けて見せて頂いたことで、自分なりにたくさんの気付きがありました。
知的な好奇心をかき立てられた展覧会でした。

グレコはもっと神秘的な人と思っていましたが、蔵書への書き込みや画かれた作品を年代順に見ていくことで、単なる神秘的な作品の画家というだけではなくて、思索家、建築家でもあり、マルチな能力を持っていた才能人、そして何よりも自らの芸術感、考えと言うものをしっかりと持っていた大きな人物であったと理解しました。

グレコ、本名ドメニコス・テオトコプーロス、ますます謎は深まり、興味は大きくなってしまいましたが・・・。

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一人での展覧会も良いですね。

じぶんのペースで何にも気にせずゆっくりと絵画たちと話すことか出来ます。

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美術館の外にでると、まだ、ところどころ木々の影が薄く長く、冬の景色のアクセントです。

グレコの余韻に浸りながら、京浜東北線では図録を読みながら帰りました。

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駅を降りて、赤ワインとクロワッサンを買って来て、ゆっくりとランチです。

展覧会ではWalkmaにBach の無伴奏チェロ組曲をいれていって、ずっと聴いていました。
帰って来てからもこの日はずっとBach 。
mario brunello のチェロ、組曲2番、ワインで程よく柔らかくなったこころにしみていきました。

絵はいいですね。来週も何か見に行きたい、でも梅も気になる・・・ ^^;

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" EL GRECO'S 2013/02/23 "
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